2010年6月アーカイブ

第19回 小児脳腫瘍の会 講演会 報告

2010年 6月5日(土)

神奈川県立こども医療センター2F講堂にて「第19回 小児脳腫瘍の会 講演会」が開催されました。
講演会への参加者は50名。講堂は、ほぼ満席の状態でした。
 
今回の講演会テーマは『支援・小児脳腫瘍の高次脳機能障害について』
現在、神奈川総合リハビリテーションセンター小児科部長であります、栗原まな先生をお招きして、とても貴重なご講演を頂く事が出来ました。
 
講演会開催前、皆様にご協力頂きました事前アンケートにより栗原先生からは、いくつかのテーマに絞った中で具体例を添えてのお話をして頂けました。
どうしてなんだろう、なぜ出来ないんだろう・・・といった子どもの普段の様子とを照らし合わせながら傍聴された方も多いと思います。
 
質疑応答のコーナーでは約1時間という限られた時間内では足りない位に参加者の皆さんからは途切れる事なく次々と質問が出され、それに対し栗原先生は一緒に悩みながら、一つひとつ熱意をもって答えて下さいました。
質問をされた方の悩みはその方だけの不安や戸惑いなのではなく、同じように悩まれ知りたいと思っている事に皆さんも共感された部分が多いと思います。
 
講演会終了後は患児家族による座談会が行われました。
毎回、講演会終了後に行われている座談会では、普段はネット上で交流をしている仲間と顔を合わせながらの貴重な交流の場所となっています。
共通の悩みを持つ仲間と堅苦しさのない「おしゃべり広場」は、ただ単に癒しの場所という事ではなく新しい発見や経験によるお話から多くのヒントを得られたり、明日からの力にもなったり、悩みも不安も長く続く私達にとっては大変貴重な時間となりました。

以下、お話しの中で印象に残った部分をお伝えします。
 
小児脳腫瘍の子どもは病気そのものや治療にって、様々な後遺症を持つ事が多いです。
知的障害、運動障害、視聴覚障害、内分泌障害、嚥下障害など基本的な脳機能の障害に加え記憶や遂行機能、耐性・注意・見当識など、社会の中でうまくいきて行く為の機能に障害を持つ事もあります。
高次脳機能障害とは、社会の中でうまく生きて行く為の機能に障害がある事を指しています。
 
小児の高次脳機能障害は就学するまで障害が目立たない事が多く、病気の後に起こってしまった変化が実は高次脳機能障害なのだと、なかなか気づけずにいる場合もあります。
その為、患児自身が 思うように行動できない自分に対して「自分はなんてダメなんだ」と自信を無くしてしまう=二次障害を起こしてしまう事もあるとのお話でした。
 
また、後天性の障害による家族の心理状況についても栗原先生からお話がありました。
以前の子どもと違う・・・そのような記憶に残った苦しみの中で病気の受容はとても難しいというものでした。
「色々な不安の中で、病気を受け入れられなくてもいいのです。受け入れられなくても、前に進んで行こうかな・・・と、それでいいのです。」
 
大切な我が子が脳腫瘍であるとの診断を受けたのちに、そのまま駆け足で治療や社会復帰の為に力を尽くし続けている私達ですが、ふと辛さが込み上げてくるような苦しみは誰もが経験されている事と思います。
 
我が子の病気を受け入れられないままだとしても、それでいいから前に進んでみよう。
栗原先生が患児とその親たちにもそっと寄り添って下さっているような、心のこもった素晴らしい講演でした。

19回 目ともなります小児脳腫瘍の会 講演会は今回も大変実りある素晴らしい集いとなり、終了致しました。
 
 
※栗原先生の詳しい講演会内容は後程 ひろばの資料室へ記載いたします。