脳腫瘍と診断されたら
「脳腫瘍と診断されたけれど、どうすれば良いだろうか」というお問い合わせのメールを頂くことがあります。
突然の病気の診断に驚き、不安に押しつぶされそうになる気持ちは、私達も身に覚えのあるところです。何か適切なアドバイスをと思うのですが、実はこの質問に的確に答えることは、現時点ではとても難しいところがあります。
脳腫瘍は細かく分類すると100種類以上に分かれると言われています。腫瘍の種類、発生した場所、大きさ、年齢などによって治療法が異なります。また多くの種類の腫瘍で有効な標準治療が確立されていないことから、病院や医師によっても治療方針が異なる場合があります。さらには症例の少ない腫瘍の場合、治療経験のある医師の数自体が極めて限られています。
こうした状況もあって、日本中どこでも同じ治療、同じ結果を望めるとは限らないのがこの病気の現状です。時間の制約はありますが、何時、何処で、どの様な治療を受けることが最善なのか、可能な限り検討してみることが大事だと思います。
まずは主治医の先生の説明を、納得のいくまで聞くことをお勧めします。診断内容や治療方針についてはもちろんですが、その施設、その先生の治療実績についても、率直に質問すべきと思います。多くの場合、最初の診断・治療がその後の結果を決めることになるからです。施設による治療内容の違いについても確認しましょう。例えば放射線治療の場合は、施設によっては設備の関係で治療に制約がある場合もあります。同様に、化学療法や術後の内分泌の治療は、それぞれの分野の専門家がいなければできません。しかも大人と子どもでは腫瘍の種類も治療法も多くが異なりますから、子どもの脳腫瘍の治療実績が重要になります。
必要と有ればセカンドオピニオン、サードオピニオンを受けることも躊躇するべきではないと思います。
専門的なアドバイスを受けられる場としては、「がんの子供を守る会」に相談窓口が設けられています。
がんの子供を守る会 http://www.ccaj-found.or.jp/
「専門のソーシャルワーカー及び嘱託医により、小児がんに関するあらゆる相談に応じています。」(同HPより)
「小児の脳腫瘍について」のページで、症状、検査、治療に関する情報を掲載しています。
また、国立がん研究センタのホームページにある、「小児がん情報サービス・脳腫瘍」も参考になります。
最後に、どれだけ一生懸命に悩んで選択した治療でも、果たしてそれで良かったのかと悩むことはあると思います。でも、お子さんのために一生懸命に悩んで最善と思って決断したことであれば、それはやはりその時点では最善だったのです。少なくとも私達はそう思っています。もちろん、次の選択は、もっと違ったものになるかもしれません。そのために、このHPが少しでもお役に立てることを願っています。
【追記】
色々と手を尽くして検討しても、示された選択肢の中からの最終的な判断は、親がするしかありません。私達もどの治療方法が良いとか、どの病院が良いとか、軽々には申し上げることができないのが実情です。
時に「直接話をしたいので電話での連絡が欲しい」というメールを頂くこともあります。そのお気持ちは良く判りますし、何とかアドバイスを差し上げたいとも思うのですが、私達も病気の子どもを持つ当事者であり、個人としての対応は難しいところがあります。ご了解ください。
小児脳腫瘍の会では、講演会や親睦会を開催しています。同じ悩みを持つ親同士、自分の経験を話すことで気持ちが楽になったり、他の方の経験を聞くことで励まされたりすることも少なくありません。場所や時間の制約はありますが、機会を見つけてぜひ参加してみてください。